澄んだ水辺に独りの少女。
山と山に挟まれた谷間にあるここはめったに人などくるはずがない。
好き好んで来るとしても人を訪ねて。
それがそんなここよりも少し離れた水辺。
なんとなく怖いと思った。
「誰!あんた誰よ!そこで何してんの!」
人でないものでもみたように怖かった。自分よりも少し年下の少女に声をあらだてて警戒する。
「ひと…」
目がどこも向いていないようで少女は微かな反応を示す。
「人…風よ!」
少女が視点を私に定めた瞬間、少女が声を発し終わった瞬間急に突風が吹き荒れる。
回りの木の葉が砂塵が舞う。
思わず顔を被い、目をつむって交す。
風が弱くなり目をあけたとき少女はいなかった。
まるで狐に抓まれたような感覚。
なんとなく思った。
少女は風の精なんだなと。
さっき初めての時は怖いと思ったのになんか妙に納得してしまった。
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