ゆっくりとゆっくりと・・・砂紋が広がる。
それはまるで砂のお城・・・・。
「今日からクラスメイトとなる風音です。よろしくお願いします」
また新しい日々が始まる。
ここもあと少しで滅びようとしている。
それを知るのはほんの少数。
だからだろうか、この笑顔は。
彼らに未来はないというのに、その顔に広がる・・・。
「風音・・・」
思わず、涙が溢れる。
こんな滅びをみているもう一人の自分を創っても、冷静さを漂わせても、それでも弱い自分はあくまで自分の体の主導権を渡さない。
よこで水方が少しだけ呆れている。
もう何度目だろう。
こうやって勝手に思って、勝手に涙する。
それでもいいと思う。
水方も何も言わない。
だけど、
だけど強くなりたいとも願う。
全ての滅びをとめられるような強さでなく、その滅びを受け入れられる強さを。
「水方ちゃん、今日もごめんね」
家に帰って水方に謝った。それに水方は笑顔で答える。
「別に構わないわ。それにそれが、風音の優しさだと私は知っているもの」
水方は静かに笑った。だから私も笑顔する。
そうやって強くなろう。少しだけ、少しずつ、その歩みを止めなければ決して進まないことはないのだから。
そしていつか、いつの日か、この滅びを受け入れられる強さを。
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