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小さな森に囲われた湖。
足を歩めるつもりで二人は水浴びをしていた。
「緑咲が、・・・・泣いてるわ」
水方は呟いた。
緑咲や火呼と別れてから時は過ぎていた。
「どこかでまた終りがあったみたいね」
風が教えてくれた情報を風音は水方に伝えた。
「ヒトはどうしてこんなにも脆いのかしらね・・・」
水方は呟きながら脳裏に焼きついている自分の過去を消し去った。
「水方ちゃん、違うよ。ヒトは強いよ」
「ヒトはね、必ず来る死を前に強く、強くなる。そうでしょう」
今まで見てきた終焉の土地。そこで最期まで生き抜いた人々。
「そうね。ヒトは脆くてそして強いわね」
それらを思い出し水方はうなづいた。
「さあ、それじゃあ私たちも行きましょうか。どうか誰も最期の時を一人で過ごさないために」
私たちは旅をする。
終焉の土地を見届けるために。
そして、その土地の人々が一人でその最期を迎えないために。
見届ける。
私たち自身の終りがくるその時まで。
それが私たちの業、罪の償い。
私たちの終焉まで、ずっと。
ゆっくりとゆっくりと・・・砂紋が広がる。
それはまるで砂のお城・・・・。
「今日からクラスメイトとなる風音です。よろしくお願いします」
また新しい日々が始まる。
ここもあと少しで滅びようとしている。
それを知るのはほんの少数。
だからだろうか、この笑顔は。
彼らに未来はないというのに、その顔に広がる・・・。
「風音・・・」
思わず、涙が溢れる。
こんな滅びをみているもう一人の自分を創っても、冷静さを漂わせても、それでも弱い自分はあくまで自分の体の主導権を渡さない。
よこで水方が少しだけ呆れている。
もう何度目だろう。
こうやって勝手に思って、勝手に涙する。
それでもいいと思う。
水方も何も言わない。
だけど、
だけど強くなりたいとも願う。
全ての滅びをとめられるような強さでなく、その滅びを受け入れられる強さを。
「水方ちゃん、今日もごめんね」
家に帰って水方に謝った。それに水方は笑顔で答える。
「別に構わないわ。それにそれが、風音の優しさだと私は知っているもの」
水方は静かに笑った。だから私も笑顔する。
そうやって強くなろう。少しだけ、少しずつ、その歩みを止めなければ決して進まないことはないのだから。
そしていつか、いつの日か、この滅びを受け入れられる強さを。