久しぶりに四人で住む。距離的に先に着いた私たちが家を用意し住み始めたが二人はなかなか来なかった。
「風音。この荷物どうするの?」
水方が廊下の端に置いたままの段ボール箱を指指しながら訊いてきた。
「二人が来たら四人でやろうと思ったの。…今、どこにいるんだろ…」
答えながら考えてしまった。
もしかしたらもうこの世界に二人はいないのではないかと。こんなにもまだ火も緑も目にみえるほどに存在しているというのに考えてしまう。
けれどそうなのだ、たとえ火や緑が存在しようとも私たちは託すことが出来る。自分たちの意思で他の誰かに託すことが。
「風音。あの二人はね、無責任に誰かに押し付けたりはしないわ。そういう人間だったからこそ先代は託したのよ。それに…それにもし仮にあれらが託したとしたら私たちのことを考えて、きっと他の誰かを寄越してくれるはずだわ」
水方は笑う。水方は強いから、笑って切り抜ける。
私は知っている。水方の強さは、四人の中で一番最初に滅びるかもしれないから。緑咲か水方か、たぶん私や火呼は誰かを見送る。
それが怖いから弱いのかもしれない…私は。
早く来るといい、二人とも。
緑咲、火呼。早く、早く私たちの元へ。
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