忍者ブログ
ある方の影響で始めた八神の自由気ままな箱庭
| Admin | Write | Comment |
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
カウンター
最新CM
[08/25 Spooky]
[08/25 八神]
[08/19 Spooky]
[01/24 八神]
[01/16 水城夕楼]
最新記事
最新TB
プロフィール
HN:
八神
性別:
女性
自己紹介:
創作、空想、妄想、その他諸々が好きな八神。
ゆっくりのんびりマイペースなB型。
バーコード
ブログ内検索
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

博士=初期稿などに登場した人物。カンパネルラの父親となっている。
カンパネルラ=博士の子供。「銀河鉄道の夜」の通り、河で溺れる。
ジョバンニ=カンパネルラを慕っている子供。父親は博士の親友。
女=八神設定。人ならざるモノ。博士の許にいる。


博士は知っていた。
自分の息子の死も、それを自分では止められないことも。そして親友の行動も。

「貴女はどう思いますか?」
彼は隣にいた女性に投げ掛けた。それは突然の唐突な問。
『私?私にはあなたの考えはわからないけれど、別にとめることも出来ないわけじゃないと思うわ』
「え?貴女はそれをご存知なのですか?」
彼女の答えに彼は目を見開き、また質問を続けた。彼女は彼を見据え、空を見ながら答える。
『あなたの力をもってすれば子供を一人、あの汽車に乗せるのは可能だと思うの』
「汽車?あぁあれですか。息子はあれに乗って逝くのですね」
彼は儚いものをみるように空を見上げ、彼女と同じように空を走る汽車を見つめた。空を走る汽車、銀河鉄道は普通の人間には見えない。銀河鉄道は人が死ぬとき乗るようで、見えるとはいえ実際死んだことがない彼にとってはよくわからない存在でもあった。
『あの汽車に乗っている間なら間に合うかもしれない。あなたの息子だから』
彼女は汽車を見ていた視線を彼に戻しながら言った。その視線に気づき彼も目線を彼女へと送る。
「しかし先ほど貴女は子供、と。一体誰を乗せたら」
『あなたの息子を慕っている者が近くにいるでしょう?』
彼は少しだけ考え、それから口にした。
「彼の息子・・・ですか。そうですね」

彼は時計を見つめた、河の前で。もう彼に出来ることはなかった。
丘の上に帰ってきたジョパンニは泣いていた。その時全ては終わったのだと彼は悟ってしまった。カンパネルラは帰ってこない。
丘の上でわかってしまった彼はこの息子が溺れた河で時計を見つめ、息子の死を受け入れるしか出来ることはなかった。
彼は結果的には無理だったとはいえ、きちんと息子の父親としてジョパンニにお礼をしたいと考えた。それが彼を更に息子の死に向き合い、受け入れる体制を作っていった。
だから彼は平然とした外面で息子の死を受け入れた。手に硬く握り締めた時計が四十五分後の時を刻んで、彼は完全に静かに全てを受け入れた。
そして、少しでも息子のカンパネルラを止めようとしてくれたジョパンニに対して彼は言った。
それはありもしない親友からの手紙。けれど彼には親友がもうすぐ戻ってくるということがわかっていた。そして親友を失ったという悲しみの今のジョパンニに対する彼自身が出来る一番のお礼。
そして彼は心のなかでジョパンニにお礼を言い、心のなかで息子の死を嘆くのだった。

 

相変わらず授業でやった作品ですv銀河鉄道は何度も手を入れられており、初期の作品には博士という人物やセロのような声やら、今の流通する本文とはちょっと違ったり。
そこで八神が一番気になったもの。河に落ちて絶望的になったカンパネルラの父親。なのにどうしてあんなに平然としていられる?ということ。で、思いついたのが彼は前々から知っていた。そういう能力を持っていた。ついでに言えばなんで妻でなく親友に手紙を送っているんだということにもなって、作ってみました。特に初期はカンパネルラの父親は博士で、ジョパンニは博士の実験でそういった夢を見るという話なので、非現実的に能力とかあっても問題ないしとか開き直ってみたりw

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[43] [42] [41] [40] [39] [38] [37] [36] [35] [34] [33]

Copyright c 八神の藍玉殿。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By Mako's / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]