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「!!」
夜、何かどうしようもなく目が覚めることがある。
私たちは人ではないから夢をみるわけではない。みるのは、みられるのは過去、だけ。
隣で寝ているみなみの方から衣擦れのような音が聞こえた気がして、なんとなく水を飲みに部屋を出た。
「きれい」
廊下の窓から見えた月に思わず呟いていた。
ここももうすぐ終わる、終焉の町。
ここの月はなんのせいなのかは知らないがいつみても霞んでしか見えない。
けれど私は嫌いではなかった。
空を見ていた目線を戻すとそこには火呼がいた。
「風音、」
火呼は名前だけ呼ぶと、そのまま傷ついたような痛そうな、そんな顔をして去っていった。
火呼、そう名前を呼ぼうとして気が付いた。
私の頬に伝う一筋の流れ。それは本当に無意識でいつから流れていたのかもわからないほど。
これをみて、火呼は何を思ったのだろう?あの顔は何を・・・そう考えても聞けない。なんとなくわかる。あの顔は人であった時のモノ。聞いても何も出来ない。それなら聞かない。聞かないことも優しさだと知っているから。
私はもう一度空を見た。この終焉の空は人で終わっていたら見ることのなかったモノ。
これでよかったのだろうか。
一瞬そう考えて、部屋にもどることにした。みなみのいるあの部屋に。