学校の帰り道。
少しだけ大通から離れる。しかしそこでは何もしない。
会う場所は街の中。人ばかりがごったがえす路の中。
オリハは目標を見つけたが表情一つ変えずに歩き続けた。
目標とすれ違う寸前にすっと手を胴体から離す。そして目標から受け取るのは一枚のカード。
オリハは慣れた手付きで目標が横に並んだ瞬間にすっとカードを受け取る。それから制服の裾を利用し袖の中にカードを隠し腕時計で落ちぬよう固定する。
全ては習慣、特に迷いもない。
オリハは街の中を過ぎると電車に乗った。それから数駅を過ぎると電車を降り、まっすぐに女子トイレへと向かう。個室に入ると徐に鞄を開け、ポーチを探す。整理されたオリハの鞄でポーチはすぐに見つかりその中から小さなコビンが取り出される。その中身を床には溢さないように便器の上空で先ほどのカードに振りかけた。
まもなくして白いカードに文字が浮き出す。それはオリハに対するメッセージ。
殺しの依頼書。
オリハはそれを見つめ、一瞬だけ顔をしかめるがいつもの表情に戻るとその紙を破り便器の中へと捨てた。それから流すボタンを静かに押した。
カードには最低限の情報がかかれている。これ以上の情報は今度はマイクロチップで手渡しされる。
数日後チップを受取り決行した。
オリハの艶やかな髪には静かに凛と紅い椿。
死に行く人物は最後にきっとこの椿を見るのだろう。もっともオリハの姿を見ることが出来たらの話だが。
オリハは今日も静かで激しい一撃をそれに浴びさせて後にした。
現場には一つの死体とその血が作った紅だけの世界。
PR