自転車の差はまず速度が違う。それから角度。ヨウは何がおもしろいのか私に速度を合わせる。たまにさっさとこいでいっても暫く先には当然のように彼の顔。ごくたまに先で絵を描いていた。その顔は真剣で。不覚にもみとれてしまう時がある。そんな時はヨウに声をかけても返事はない。だから私は私なりにその光景を捉える。
最初は真似。横にいて何かないかと周りを見渡してあったのは紙とペン。ヨウはそんなどこにでもあるもので作り出す。そして私はそんなヨウの横でみよう見まねで書いてみた。上手くいかない。それでも横にヨウがいるから書いてみる。その空間が心地良いからか意外にもやめたいとは思わず書ける。
私は絵など授業くらいなものでよくわからないけど楽しかった。それはヨウと一緒にいたからかそれとも絵を書くことになのかは知らない。
数日そんなでヨウと絵を書くようになるとヨウが少しずつ基礎などを教えてくれた。
それからは一緒に描くようになった。といっても私から描きたいではなくヨウが描くから。一緒に描くのは楽しかった。私は上手くは相変わらずないけれどだんだんと成長しているのが自身でもわかって嬉しかった。
「もうすぐ見えるよ」
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