村はただの荒野となっていた。
少しばかり焼け残った家屋や臼などが恨めしそうに私をみているようだった。
そんな状態でも生き残りがいるのではともがいた。
何がなんでもと思っていたがそれは今度は簡単に地上まで降りると私を離した。
私はそれこそ村中から焼け残った山付近まで捜した。
けれどでてくるのは亡骸だけだった。
それでもと諦めきれず山の奥にまで行こうとした。
行こうとしてみてしまった。
それは火事の時に私をかかえたあれを従えた者。鼻が高く赤顔のそれは急に現れた。
「おまえか…」
それは低く響くような声で言った。そして私は確信した、これが山神さんであると。なぜか確信した。
「お前は友を助けようとして殺した。そしてまた罪もなく村人全員を葬った」
私は足が固まってしまい逃げることも出来ずにいた。ただその言葉を聞き、自分の罪深さを思った。
「その罪、人の世では生きられぬだろう。お前はもともと案内の人間。我のもとに来るがよい」
私はもう全身が固まり、首を動かすこともできなかった。
ただ、それは私の答えなど聞くわけでなく持っていた葉のうちわを大きく振るってしまった。
それから私は歌を覚えた。最近の流行りはかごめかごめ。
あれは人にはない通力を持った者が好きらしい。かごめはその優秀な者を集めるのに適していると聞いた。
かごめを。
仲間を。
私たちは仲間を捜してさすらう。
かーごめかごめー…
今日も明日も明後日も。
仲間を捜して歌うの…
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