火は紅く紅く…。
「おせいちゃん」
「あっみーちゃん。またあれが出たのにお外出ていいの?」
私はこの村に生まれた時からずっと住んでいる。そしてこれから先も。
村には一つの言い伝えがあった。それは山には神があり気に入られると神隠しにあうというもの。
子供に特に多く、山には子供だけで入らないようにと注意するくらい気にしている。
昨日も一人神隠しにあった。村の外れの子供で大人たちは一晩中捜したがみつからなかった。
そして今日は大人たちは神隠しにあわぬよう子供たちは留守番が多いのだ。
「今おっかあたちの忘れもの届けたから。その帰り。また明日遊ぼう」
「うん。気をつけてね」
おせいちゃんと別れて家に帰るとばあちゃんが庵にあたっていた。
「ただいま」
「みつか…。お前帰り道で誰かと話したか?」
「ん…おせいちゃんだけかな。なして?」
言ってからはっとしたが遅かった。
「次の山神さんへの供物はおせいだな」
ばあちゃんはまるで楽しそうに呟いた。
「みつ、明日お前がせいを山に連れていけ。仲良うしていたからと逃げるんじゃないよ」
「…どうしておせいちゃんなん?」
「それは山神さんが決めることだ。うちは代々そうやって富を得ている。それを忘れるんじゃないよ」
私はばあちゃんのいう山神さんというものを知らない。
私が出来るのは山に誘い込むまで。それから先は何も知らない。ただ村の言い伝え通、誰一人として戻る者はいない。それから山神さんを見た者も、ばあちゃんたち一部を除いて。
私はどうしたらいいのだろうか…。
携帯のため不本意ながら続く。
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