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学校の教室。今では普通の子と変わりなく生活できるようになった。
あの頃思っていた夢が実現して、今度はあの頃の方が夢のように思えてしまう。
「あら、ゆき」
「あっほんとだ。どうりで寒いと思った。でもよくわかったね室内なのに」
「えっうん。なんとなくわかったの」
ほんとは違う。もう直感的、というのだろうか。すぐにわかってしまう。彼女の本来の姿。あの時からもう会えることはなかった。
それでも雪が降ると思い出す、そして彼女の姿を、気配を探してしまう。
彼女の姿をこの目で直接視ることは出来ない。けれど目を瞑ればあの時のようにわかる。けれど彼女はいない。
「サキ?どうしたの。雪なんてみて」
「いいえ。なんでもないわ」
私はユキを忘れない。それでいい。それが今の私に出来ること。ユキがくれたせめてものお礼。
気配もなにも感じない。けれど。
「ユキ・・・」
雪が降り始めたとき私は誰にも聞こえないような小さな小さな声で彼女の名前を呼ぶ。ずっと、ずっと。私がユキを忘れない限り。