会いたいと思った。
夢の中の彼女は恥ずかしがりながらにっこり笑って、少しだけ嬉しそうに話かける。
それだけで本当に胸がいっぱいになって、楽しくて嬉しくて今こうしている時がとてもつもなく幸せで。
その楽しい幸せな時を存分に楽しんだ。
そしてどこか心のほんとに小さな小さなところに一抹の不安を抱えていた。
こんなに楽しくていいのだろうか。これだけで運を使い切っているのではないだろうか。
けれどそんな気持ちは幸せの時の中ではすぐに心の更に更に奥の小さな小さな引き出しに詰め込まれてしまう。
そう幸せの時はその反対に幸せでない時と引き換えに与えられているとなんとなく感じていたのだ。
だからその不安を消し去ることは出来なかった。
そうして目が覚めた。
そう夢の中でもいい。会いたい彼女に会えた。彼女の笑顔に会えた。それだけで起きてもやっぱり幸せで胸がいっぱいになった。けれどその反対に涙がこぼれる。
彼女はどうしているのだろうか。置いていった一人を覚えているのだろうか。たまには考えてくれているのだろうか。
夢の中で小さな小さな引き出しに詰め込まれていた不安は形を変えて襲い掛かる。
そうして夢が覚めた今、この心を支配するのは不安。色々な不安。あの夢の時の幸せはそれこそ胸の小さな小さな引き出しに入れられてしまうのだ。
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