08 | 2024/09 | 10 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
私の場所。
それは白く白く…全てが白の世界。
その世界のなかで私は、綺麗な紅を見た。
「死んでいるの?」
その綺麗な紅を流している人間に問う。けれど返事はない。
紅は綺麗。この白い世界に鮮明にその色彩を残す。
だけど、動かないおもちゃはいらない。そう思ってその場を立ち去ろうと、体の向きを変えようとしたときだった。
「・・・誰・・・だ・・」
それはとてもとても小さな、声にならない声。私が人ではないから聞き取れたとても小さな音。けれど動いたのは音だけ。そんな少しのおもちゃではすぐに飽きてしまう。それに、きっとこの人間はそう時を置かずにその声も動かなくなる。それならやっぱりいらない。けれどせっかく見つけたおもちゃ。
そうだ、もっと一面を紅に染めればいい。
私は自分の手を合わせ、その隙間に息を吹きかけた。そしてゆっくりと手を広げていく。そこには持つのにちょうどいい太さと長さの氷柱。その氷柱をあのおもちゃへ。あのおもちゃの人間のもっとも紅が出ているところへと突き刺す。人間の微かな耳障りな悲鳴。そして更に量を増した綺麗な紅。
「紅がいっぱい」
私は満足してその場を後にした。